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■ 原動機系

2001/9 掲載 

常温からかけ離れた環境にいると、人も車も不調になります。
ここでは、極寒冷地に発生しやすいエンジントラブルを説明します。
まず、起こりやすいトラブルの代表なのが、始動不良です。

ガソリン車の場合は、

  • プラグコードによる点火電圧の低下
  • 燃料系の凍結
  • バッテリー電圧の低下
  • 冷却水の凍結によるエンジン本体の損傷


ディーゼル車の場合は、

  • グロープラグの断線
  • 燃料系の凍結
  • バッテリー電圧の低下
  • 冷却水の凍結によるエンジン本体の損傷

以上のトラブルが起こる可能性が高いのです。
燃料系の凍結、バッテリー電圧の低下については、燃料系、電装系でそれぞれ解説してありますので、そちらをご覧下さい。

 

 プラグコード


気温が低くなると、プラグに対する要求電圧が高くなります。
これは、暖かい時と比べて余計に電気を使うと言う事です。
プラグまで電気が運ばれる経緯は、ちょっと前までの車ですと

オルタネーター&バッテリー ~ 一次コイル(ディストリビューター制御) ~ 二次コイル高電圧発生 ~ ディストリビューター ~ プラグコード ~ プラグ

と言う経緯が表されます。

オルタネーター ◎ オルタネーター 
バッテリー ◎ バッテリー
一次コイル(二次コイル内蔵) ◎ 一次コイル(二次コイル内蔵)
ディストリビューター内の断続器 ◎ ディストリビューター内の断続器
二次コイル(一次コイル内蔵) ◎ 二次コイル(一次コイル内蔵)
ディストリビューター ◎ ディストリビューター
プラグコード ◎ プラグコード
プラグ◎ プラグ

最近の車の場合ですと、ダイレクトイグニッションと言うシステムを採用している場合が多いため、

オルタネーター&バッテリー ~ イグニッションコイル ~ プラグ と言うシンプルな図式が表されます。

オルタネーター ◎ オルタネーター 
バッテリー ◎ バッテリー
イグニッションコイル ◎ イグニッションコイル
プラグ ◎ プラグ

一次コイルで断続的に電気を流し、二次コイルに大電流を発生させてプラグに火花を飛ばしているのです。
最近の車のイグニッションコイルは、すべて同じユニット内で点火動作を終了させています。
プラグコードとは、上の図式を見ていただくとおわかりでしょうが、プラグに電気を運ぶための電線の事なのです。

プラグコード プラグコード

プラグ自体は消耗品と言う概念が定着しており、結構皆さん気にする部品だろうと思います。
しかし、実はプラグコードも消耗品なのです。
劣化したプラグコードは、電気を伝える途中で、劣化したゴム部分から電気を逃がしてしまいます。
こうなると、プラグに伝わる前に電圧が激減してしまうのです。
結果、不完全燃焼になり、スムーズな始動&走行が出来なくなってしまうのです。

点検方法は、エンジンが始動している時に、プラグコードを少し抜いてみます。
この時、体の一部がボディに触れていると、体に数万ボルトの高電圧が走る事になり、 非常に痛いです。
注意して作業して下さい。
抜いたプラグコードをプラグホールの側面より少々離して動かして見ると、リーク(電気漏れ)している部分から火花が飛びます。
このような症状が出ているプラグコードを抜いても、エンジン回転にはあまり影響がない事が分かります。
生きているプラグコードを抜くと、途端にエンジンの回転が落ち込むのです。
このリークが激しくなるのは、先述した通り、冷間時なのです。
リークが酷くなると、始動性に影響が出てきます。

応急的な修理として、リークしている部分にビニールテープを厚く巻き付けると、症状が軽減されます。

応急的な処置1 応急的な処置2

しかし、あくまでも応急的なので、無事帰宅出来たら部品交換しないといけません。
ほったらかしにしておくと、触媒に付いている「ヒートセンサー」まで壊れてしまうのです。
ヒートセンサーについての解説は、長くなるので割愛させて頂きます。

 

 冷却水の凍結によるトラブル


このトラブルに見舞われるのは、よほど運がない時かもしれません。
このトラブルの原因は、冷却水の劣化、クーラントの濃度不適切によるものです。
何故エンジン本体に損傷を与えるのかと言うと、水と言う物質の特徴が原因なのです。

普段の生活に使っている水と言うのは、液体です。
液体の物質が固体に変わると、大体の物の体積が増えてしまうのです。
水が固体に変化すると、体積はおよそ1.1倍になります。
エンジンの様な鉄の塊、そして張り巡らされた冷却水水路の中で凍結してしまうと、 膨張した体積分の「逃げ」が無くなってしまうのです。
部分的に体積が増えてしまうため、カンタンに水路を破壊してしまうのです。

このような事故に遭わないため、冷却水の凍結する最低温度を下げてやる必要があります。
そこで登場するのが「クーラント」と言うグリセリン溶液なのです。

クーランとサブタンク クーラントサブタンク(普段の点検はここの液で行う)
ラジエーターキャップ ラジエータキャップ(ここは熱い時は絶対開けない事)

赤や緑の色をした液体が車に入っていることは皆さんご存じだと思います。
この液体は、凍結温度の調整の他、冷却水水路のサビ防止にも役だっています。
クーラントの濃度は、一般的な環境下では「50:50」が定説です。
寒冷地に赴く機会が多い方、寒冷地にお住まいの方は、これよりクーラントの濃度を濃くしてあげなければいけません。

下の表は、各ゲレンデでのクーラント濃度表です。

ニセコ 安比 志賀 湯沢 八ヶ岳 白馬 房総 彦根 ハチ高原 大山 広島 阿蘇
12月 平均 -4.5 -2.7 -3.5 -2.2 -3.4 0.8 9.4 6.9 -3.0 2.5 8.7 2.9
最高 -0.6 6.0 0.9 -3.5 4.0 4.8 19.4 15.6 -1.0 6.0 20.9 15.3
最低 -8.5 -12.0 -7.9 -8.0 -15.0 -6.4 -0.4 -0.6 -5.0 -1.0 0.3 -7.3
1月 平均 -6.1 -5.6 -7.0 -3.5 -8.6 -1.6 6.6 3.3 -4.0 2.0 5.2 -2.1
最高 -2.2 5.0 2.5 2.0 4.0 3.9 19.1 13.4 -2.0 10.0 16.9 10.7
最低 -10.0 -13.0 -11.6 -9.0 -17.0 -7.2 -4.3 -3.9 -6.0 -6.0 -2.0 -10.2
2月 平均 -5.2 -3.5 -6.3 -4.0 -8.5 -2.1 6.0 3.7 -2.0 0.0 6.0 -1.2
最高 -0.4 4.0 1.5 0.0 3.0 3.5 15.0 11.6 0.0 5.0 16.0 8.1
最低 -10.0 -9.0 -11.0 -8.0 -16.0 -7.7 -3.2 -2.2 -4.0 -5.0 -0.8 -8.9
3月 平均 -2.2 0.2 -2.6 -1.2 -3.9 1.1 9.0 7.3 1.0 3.0 9.6 2.6
最高 3.2 12.0 2.4 5.6 4.0 8.3 20.0 17.7 3.0 10.0 20.5 15.7
最低 -7.7 -8.0 -7.6 -8.0 -11.0 -6.0 -0.7 -1.3 -1.0 -4.0 -0.1 -7.1

ゲレンデ駐車場での気温の一覧です。

 水:クーラント 70:30
 水:クーラント 50:50
 水:クーラント 30:70

あくまでも目安です。 一番濃い色に濃度を合わせて下さい。

 

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